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2012年05月 アーカイブ

2012年05月29日

岩手県ロケ紀行 Vol.1〜五月の東北は美しい〜

 五月半ば、岩手県宮古市周辺に工場を持つ会社のパンフレット撮影に行くことになった。
宮古市?googleで調べるとまさしく沿岸部ではないか。現地の様子に不安を抱きながら東京を発った。
 盛岡まで新幹線で行き、それからは2両編成の小さな電車山田線に乗換え一路宮古駅へ。
約2時間電車に揺られることになる。走り始めてまもなく、電車はカーブに差し掛かり右へ左へ大きく揺れると思ったら、今度は断続的にトンネルをくぐる。途中大小の川を渡りながら列車はさらに深い森へ吸い込まれていった。
 窓からはキラキラと陽の光が差し込み、同時に眩い緑が目に突き刺さる。時より赤や黄色の花々が見える。ガタンゴトンと揺られながらトンネルに入り、抜けると鮮やかな光景が視界に広がる、そしてそれが何度も繰り返される。「ここは何処?」まるで映画の世界に入ってしまったように自分がどこにいるのかわからなくなりそうだった。
 岩手県と聞いて、こんなに深く鮮やかな山々が続いているとは想いもしなかった。これは何とも美しい。ただあるだけで素晴らしい世界に驚かされた旅の始まりだった。
 しかし宮古駅に着くと思ってもみない世界が待っていた。
<続く>

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2012年05月31日

岩手ロケ紀行 Vol.2〜想像を絶する津波の爪痕〜

盛岡から山田線に揺られて2時間、終点の宮古駅に着いた。風は心地良く駅には、観光客を歓迎するのぼりや旗が見え活気も感じられた。
クライアントの社長さんが迎えに来てくださり、車に乗って撮影地へ向かった。
「このあたりが宮古市のメインストリートですよ。東京から比べると小さな商店街程度ですかね」街なみに目をやると、本来連なっているはずの建物がところどころ基礎を残してぽっかり空いている。「このあたりも床上1〜2mは津波が来ました」そんな話を聞きながら大通りに差し掛かるとある動画を思い出した。昨年の津波発生当時、大量の黒い海水が防波堤から溢れて漁船が次々とこぼれ落ち、町が沈んで行くシーン。まさしくその場所だった。

前半の撮影を終え、移動中に被災地の写真が撮りたいので車を止めて欲しい、とお願いした。基礎だけを残した元住宅街、見渡す限り津波に破壊された光景に言葉が出なかった。
震災から1年以上経った今も、いたる所であらゆるものが津波によって壊されたままだ。その爪痕はあまりにも深く大きい。地元の方の話では「頑張ろうというより、“何とか負けないように踏ん張っている状態”」だという。
気持ちをどう持って行けばいいのか分からなかった。
<続く>

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